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平成11年度事業開始
愛知県・名古屋市 「循環型環境都市構築のための基盤技術開発(別冊)」
  pp.202-213
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ハイブリッド型リアクターの開発研究
青山 渉1), 片桐 誠之1), 野口 基治2), 富田 美穂2)
1) (財)科学技術交流財団
2) 日本ガイシ(株)
Abstract  廃水の高度処理、循環再利用システムを構築するためには、廃水に含有されている有機物および栄養塩類を高度に除去する技術が求められる。活性汚泥法は、廃水中の有機物を除去する生物学的廃水処理技術として広く普及しており、操作法の改良により栄養塩類の窒素の除去も可能であるが、この場合、処理に長時間を要し、大きな敷地面積が必要となるといった問題があるため、短時間で窒素の高度除去が可能な技術の開発が望まれている。こうした背景を踏まえ、本研究ではより負荷の大きいディスポーザー廃水を含む生活廃水にも対応可能な高速窒素除去法の確立に取り組み、処理時間の大幅な短縮を図ることによって小さな敷地面積で高い窒素除去率が得られる技術の開発を行う。本研究では、微生物を用いた窒素除去法である生物学的脱窒素法の高性能化を試みる。生物学的脱窒素法は、硝化工程と脱窒工程の2工程により成り、硝化工程は、廃水中のアンモニア態窒素を亜硝酸菌および硝酸菌により硝酸態窒素まで酸化する工程、一方、脱窒工程は、硝酸態窒素を脱窒菌により窒素ガスまで還元し、大気中に放散する工程で、この際有機物の除去も行われる。このように窒素の除去は、亜硝酸菌、硝酸菌および脱窒菌により行われるため、処理時間を短くするためには、これらの微生物をそれぞれの反応槽内で高濃度に維持することが重要なポイントとなる。そこで、本研究で開発するバイオリアクターでは、反応槽内の微生物濃度を高めるために硝化および脱窒の両工程に微生物を高密度に付着・固定化できる担体を使用する。バイオリアクターでの使用に最適な担体の選定、担体の処理性能が最大となる使用法の確立、オンサイト実験によるバイオリアクターの操作条件の確立、窒素安定処理の実証を行い、活性汚泥を使用しない担体のみによる窒素の高度・高速除去技術を開発する。なお、本開発技術により窒素および有機物を除去した処理水は、後工程の「難分解性物質の微生物処理」、「精密濾過・分離膜技術」へ送られ、さらに高度な処理が行われる。

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