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戦略的基礎研究推進事業 平成7年度採択研究課題 研究終了報告  85-112
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オルガネラ構築と細胞機能発現制御の分子機構
藤木 幸夫1)
1) 九州大学大学院理学研究院
高等生物生命現象の基本体である真核細胞は、非常に緻密に分化した膜構造に基づく生命活動を行っている。これら生体膜構造·オルガネラの形成と分化のプロセスは遺伝的に制御されていると考えられ、機能を担う実体すなわちタンパク質の選別輸送の問題のみならずこれらの障害がもたらす病態の分子レベルでの解明も含めて、プロティンキネシス(Protein Kinesis)と呼ばれる。すなわち遺伝子が生体膜を隔てた場をも支配できる基本原理である。遺伝子の転写についでmRNAの核外輸送後,細胞質リボソームで合成される前駆体タンパク質はターゲティングシグナルに応じて各オルガネラに運ばれたのち,それぞれの膜系の持つタンパク質輸送装置の働きによりオルガネラ内のサブ·コンパートメントに送られ機能を発現する(図1)。したがって、そのメカニズムを解明することは遺伝子発現から細胞の機能発現と制御という一連の生命活動を理解するうえで極めて重要な研究課題である。戦略的基礎研究推進事業研究課題「オルガネラ構築と細胞機能発現制御」は、実践的には「タンパク質の細胞内局在化によるオルガネラの形成と機能発現およびその障害の分子機構」ととらえることができ、ペルオキシソーム、ミトコンドリア、小胞体、ゴルジ体、リソソームなど細胞内オルガネラの動的存在状態とその制御機構、ならびに種々の病態をもたらす障害機構をペルオキシソーム系を主体として明らかにすべく、3つのグループからなる研究チームを組織しこの課題に取り組んだ。研究代表者(藤木)グループは主としてペルオキシソームを、三原-伊藤グループはミトコンドリアと小胞体を、池原-姫野グループはゴルジ体とリソソームを担当した。それぞれの研究分野で世界をリードする研究成果を挙げたものも数多くあり、全体として本課題研究は5年間の事業で実りある成果を世界に向けて発信できたと考えられる。各グループの研究概要と成果を以下に述べる。

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