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戦略的基礎研究推進事業 平成7年度採択研究課題 研究終了報告  261-277
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STM発光分光法と近接場光学分光法による表面極微細構造の電子物性の解明
潮田 資勝1)
1) 東北大学電気通信研究所
平成8年度に本プロジェクトを開始したときに提出した研究計画書中の「基本構想」は以下のとおりである。
本研究では、走査型トンネル顕微鏡(STM)発光分光、短パルスレーザー励起電子トンネルによる時間分解分光、近接場光学顕微鏡(SNOM)および原子間力顕微鏡(AFM)による観測などの手法を駆使して、固体表面の極微細構造、吸着分子系、完全に孤立した単一微粒子などの電子物性·光物性を探索する。
潮田グループは、STM発光分光と短パルスレーザーで励起したホット·エレクトロンのトンネル現象を組み合わせて、表面で起こる物理·化学現象の位置、時間、エネルギーを高分解能で計測するシステムを構築する。この計測手法を分子や原子レベルにまでおよぶ極微細領域の物性研究に応用し、広い範囲のユニークな利用法を探索する。具体的にはSTM発光分光法を応用して量子細線、量子ドット、表面吸着分子などの個々の構造の電子物性·光物性を調べる。究極的には、STM発光スペクトルから個々の分子を同定することを可能にし、例えばDNAやタンパク質などの構造決定にも応用することを目指す。
宮野グループは、環境から完全に孤立した単一の極微粒子を生成し、これを光学的·電子的な手法によって測定することにより、このような系に特有な性質及びそれをもたらす物理的原理を明らかにする。この目的のため、空中にトラップされた、あるいは不活性な基板ないしは針状の微小マニピュレーター上に形成された極微小粒子一個について、化学反応·分子的修飾、サイズの変化、変調外場の印加などを行いつつ、同時に時間分解分光、非線形分光、超高分解能エネルギー分光、光電子分光、電子励起分光などの分光法を用いたその場観察を行う方法を開発する。

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