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戦略的基礎研究推進事業 平成7年度採択研究課題 研究終了報告  243-259
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人工ナノ構造の機能探索
青野 正和1)2)
1) 大阪大学大学院工学研究科
2) 理化学研究所
<研究の背景と目的>
マイクロメーターからナノメーターの領域へと進展してきた物質の微細加工技術は、今や原子の層を一枚づつ、原子の塊まりを一個づつ、さらには個々の原子を一個づつ、かなりの精度で制御することを可能ならしめるに至った。物質の微細加工を極微にまで押し進めようとする人類のこの飽くなき努力は、端的に言えば、極微細構造における電子や光子の量子現象、原子や分子の運動素過程をより深く理解し、制御し、利用して、人類の未来に新しいパラダイムを開きたいという希求に基づいている。脳や遺伝子に学びかつそれらを陵駕する新しいアルゴリズムの情報処理への応用はもとより、この世界を支配する基本的力学のより深い理解にもつながるなど、その波及効果は計り知れない。しかしこの分野の研究の現状を眺めるとき、極微細構造の構築法に関する研究は数多いが、それらの機能を積極的に計測し、理解し、探索しようとする研究は世界的に見ても始まったばかりである。その機が熟した今日、この方向の研究を戦略として組織的に進めることは我が国に課せられた使命と言えよう。本研究は、極微細構造の構築ならびにその機能に関して豊富な経験と知識を有する実験と理論の研究者を結集して、極微細構造の「機能探索」研究に突破口を開くと共に、我が国から世界に向けて発信できる新しい情報処理デバイスの開発を目的として開始された。

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