| ウイルス持続感染による免疫均衡の破綻機序とその免疫治療法の開発
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| | | | 本研究では、レトロウイルス感染症によってひきおこされる腫瘍、免疫不全、自己免疫等の生体内での病態形成機序とその分子メカニズムを解明し、究極的にはウイルスを抑制し免疫不均衡を矯正する免疫治療法の開発をめざした。従って、生体内解析を可能にするための動物モデル開発、宿主側の免疫応答およびウイルスによる細胞内シグナル修飾の解析とを当面の目標とした。研究班は7部門の研究室で構成された。研究対象となったレトロウイルスは、成人T細胞白血病(Adult T cell leukemia, ATL)の原因ウイルスであるヒトT細胞白血病ウイルスI型(HTLV-I)、後天性免疫不全症候群(AIDS)の原因ウイルスであるヒト免疫不全ウイルス1型(HIV-1)、マウス赤白血病の原因ウイルスであるフレンド白血病ウイルス(F-MuLV)である。 研究開始直後から感染動物を取り扱うための研究実施体制の整備を行い、東京医科歯科大学の感染動物実験施設においてはHTLV-I腫瘍の小動物モデル開発を、北里大学理学部においてHIV-1感染の小動物モデル開発を行った。研究期間中に、研究グループの移動があった(藤井グループが東京医科歯科大学から新潟大学へ、田中グループが北里大学から琉球大学へ)が、共同研究および動物実験は続行することができた。これらの動物実験と平行して、HIV-1に対する宿主免疫機能解析、ならびに細胞レベルでのHTLV-I発癌メカニズム·HIV-1の感染増殖メカニズム·HIV-1による細胞死メカニズム·F-MuLVの発癌メカニズムの解析を行った。 | | | |