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第4回領域シンポジウム予稿集 環境低負荷型の社会システム Social Systems for Better Environment Performance  37-42
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質の利用を中心にすえた新しい都市水代謝システムの構築
渡辺 義公1)
1) 北海道大学大学院工学研究科
本研究のプロジェクトでは、用途に応じた水質の水を必要な量だけ都市に供給し、水文サイクルのフラックスの不足分を自然との生態学的調和と水再利用を考えて対応する、新しい都市水代謝システムを構想した。総需要の20%程度の発ガン性や変異原性も考慮した超上質の飲用水は、河川上流部の清澄な水源から取水し、機能性膜等による精密処理により造水する。非飲用系の大量の生活用水は、高度な下·廃水処理と河川·湖沼·地下貯留により容量を与えられた人工·自然のハイブリッド系を用いて創出した、都市近郊の清澄化された水源から取水する。必要に応じて吸着·膜分離を基幹とする高度浄水処理により飲用可の水質に変換する。再利用水は高感度水質計測システムによって水質をモニタリングし、その安全性を保障する。下水処理で発生する汚泥の重金属含有量を少なくして、有機物、リン、窒素のリサイクルのために農地還元する。汚泥からの作物へのリン吸収効率を高めるために、植物が分泌する機能性酵素·有機酸の作用を活用する。
上質飲用水供給システムを完成させた後に、現在の水道システムを非飲用水供給用に転用する。これに至る間は、利水末端で飲用水のみを上質化しながら、水道システムの二元化を逐次進め、次世代の都市水代謝システムを構築する。本研究課題で開発した要素技術を活用して、既存の水代謝システムを高規格化して、提案する都市代謝システムを地域の水需給特性に応じた形態に設計し運用する。
これまでの5年間では、構想の実現に必要な要素技術の開発を行った。要素技術の開発は、それぞれの研究グループが既に蓄積済みの研究成果を、基本構想との整合性を考慮しつつ更に発展させることを基本とした。それと並行して、開発された要素技術を組み合わせた水利用システム総合施設を設計·建設·運転して、構想の実現性を実証した。

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