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平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 684
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「分子複合系の構築と機能」平成10年度採択研究代表者
「次世代物質変換プロセスの開拓」

高橋 保1)
1) 北海道大学触媒化学研究センター 教授
Abstract:  本研究では遷移金属錯体上で高選択的な物質変換を行うことを目的とし、特に遷移金属上での炭素·炭素結合切断に基づく新しい選択性の発現を利用し、有用な化合物の開発を行っている。ここでは新しい機能分子の合成について報告する。バンドギャップが小さく高い導電性が期待できるアセン類はその合成法がほとんど開発されておらず、この分野の研究は唯一手に入れることのできるペンタセンに限られている。しかしながらこのペンタセンも溶媒への溶解性が非常に悪く、加工が困難である。本研究ではアセン類への置換基の導入を考え、このペンタセンをはじめとした置換基をもつアセン類の合成法の開発を行った。ここではこれまで我々が開発してきた置換アセチレンをカップリングさせた芳香族化合物の合成法を利用し、置換基を持つ直線状の多環式化合物を成長させていく方法を開発した。これにより溶解性の高い多置換ナフタセンや多置換ペンタセンを合成することに成功した。本合成法は環を成長させる方法を取っているため、さらに長いアセン類を合成することが基本的に可能であり、アセンを用いた導電性ポリマーなどの新しい分野を開拓する画期的な手法となることが期待できる。

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