TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


平成11年度 戦略的基礎研究推進事業 「研究年報」
Vol. 1 (2000) 1111
[PDF (521K)] [引用文献


「環境低負荷型の社会システム」平成9年度採択研究代表者
「低環境負荷エネルギー用複合機能構造材料の開発」

香山 晃1)
1) 京都大学エネルギー理工学研究所 教授
Abstract:  環境低負荷型のエネルギー生産システムを成立させる鍵となる高性能·高品位なエネルギー材料の開発基礎研究として、耐熱性やその他の厳しい環境に対して優れた耐性を有する複合機能構造材料·システムを構築する事がこの研究のねらいです。具体的にはセラミックス基及び高融点金属基複合材料の核融合炉、高温ガス炉、超高温燃焼システム等による電気エネルギー生成への応用を目的とし、炭化珪素繊維により強化された炭化珪素基複合材料(SiC/SiC)やタングステン合金繊維により強化されたタングステン基複合材料(W/W)、及びそれらの複合化要素部材の開発やこれらを用いるシステム要素の設計·製作·特性評価等を行っています。1999年度を中心とする特筆すべき技術開発の成果としては、
(1)CVI-SiC/SiCの許容設計強度を従来の約5倍に向上させる複合材料プロセスを開発
(2)反応燒結法により熱衝撃特性に卓越したSiC/SiC作製の基礎プロセスを開発
(3)新規ポリマーを用いた超耐熱PIP-SiC/SiC作製の基礎技術を開発
(4)高強度W/W複合材料及び接合体を開発
(5)世界最高性能の複合加速器型先進材料超耐環境性実験設備を完成
などが挙げられます。
現在までの研究実施により、従来技術で達成されていた特性を大きく凌駕する材料システムの要素プロセス開発が達成されていますが、今後の各要素技術の結合や総合化により、更に高性能·低価格化·応用範囲の拡大等の進展が期待されます。炭化珪素セラミックスは、耐環境性、耐熱性、高熱伝導性、高温強度、低熱膨張、耐摩耗性にすぐれた特性を有することから、高温構造部品、耐摩耗部材として、着実にその用途を広げてきました。最近、半導体用製造治具やダミーウエハ等半導体関連製品の需要が大幅に伸びており、また、航空宇宙分野やエネルギー関連機器、大電力用半導体への適用も期待されています。高強度高靭性化、低コスト化、更には耐環境性の改善が実現できれば、大幅な需要の拡大が見込まれますし、本研究の目的である「複合機能を有する構造材料を利用する低環境負荷型の新しいエネルギーシステムの実現」が大きく進展します。

[PDF (521K)] [引用文献

Copyright(c)2000 科学技術振興事業団