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「動植物細胞におけるストレス応答機構」に関する共同研究
Vol. 1 (2000) 171
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植物のアルミニウムストレス耐性機構
IV. 酸性/アルミニウムストレス下の水耕栽培における大麦種子根、冠根の異なる応答機構

斎藤 彰1), 正岡 淑邦2), 佐藤 和広3)
1) 農林水産省九州農業試験場育種工学研究室
2) 農林水産省九州農業試験場生産環境部
3) 岡山大学資源生物科学研究所大麦·野生植物資源研究センター
Abstract:  多くの植物は酸性土壌でイオン化するアルミニウムにより葉と根に生育阻害を受ける。水耕栽培実験系によって、酸性度は根の生育に影響を与えず、アルミニウムが根の伸長を阻害し、葉はその2次的結果であるとされた。小麦ではヘマトキシリンで種子根のアルミニウム存在部位を染める方法が育種選抜に利用されている。本研究では、ヘマトキシリン染色法は大麦に適応できないことを明かにした。また精密pHコントロール水耕装置を用いて、酸性/アルミニウムストレスを酸性度の影響とアルミニウムの影響に分け、それらに対する葉の発芽と伸長応答また根を種子根と冠根に分けて検討し、それらのストレスは発根と伸長に対して異なった応答をすることを明らかにした。10大麦品種を用いてそれらの応答を比較した結果、酸性ストレスに対する応答は、種子根と冠根では異なり、またアルミニウムストレスに対する応答は酸性ストレス応答と異なった。さらに出芽(根)と伸長に関する応答も異なることが明かになった。すなわち、酸性/アルミニウムストレス耐性機構は複雑で少なくとも8遺伝子が関係すると推定した。

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