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平成14年度事業開始
埼玉県 「高速分子進化による高機能バイオ分子の創出」
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相同組換えによる高速ゲノム進化法の開発
相同組換えの頻度増大と高速ゲノム進化への応用

柴田 武彦1), Lin Waka2), 廣田 耕志2), 中村 晃歩2), 升岡 美恵子2), 小泉 文乃2), 太田 邦史3), 瀬尾 秀宗4), 井上 弘一5), 田中 秀逸5), 畠山 晉5), 石橋 和真5), 高倉 千裕5), 荻原 杏子5)
1) (独)理化学研究所
2) (財)埼玉県中小企業振興公社
3) (独)理化学研究所中央研究所
4) (株)カイオム・バイオサイエンス
5) 埼玉大学大学院理工学研究科
Abstract  有性生殖は相同組換えによる遺伝情報再編成過程であり、進化の加速機構である。有性生殖の原理を用いたジーンコンバージョン型相同的組換えの超高頻度誘導で、突然変異などで多様化したDNA配列間のシャッフルを行い、遺伝子を高速進化させる技術を開発する。
・ その一例として、よく似てはいるが多様化した単位の繰り返し配列(偽遺伝子)群のそれぞれの部分を抗体可変領域遺伝子座へ写し取るかたち型のジーンコンバージョンですべての抗原に対する抗体の産生が行われるニワトリの獲得免疫系に注目する。そのBリンパ球細胞由来の株化細胞DT40の抗体遺伝子座におけるジーンコンバージョンを活性化して抗体遺伝子の多様化を促すことにより、任意の抗原に対する特異性をもつモノクローナル抗体分子を迅速に作製するシステムを確立し、診断・試験・治療用のモノクローナル抗体試薬の高速創製技術を提供する。
・減数分裂期におこるRIPは、2つ以上の同じ塩基配列が存在すると高頻度標的突然変異がおこる赤パンカビ特有な遺伝現象である。RIPを普遍的な高頻度標的変異導入技術として利用することを目的として、RIPに関わる遺伝子の同定と機能解析を行う。また、外来DNAは、染色体DNAと相同性があっても、そのほとんどが非相同末端結合(NHEJ)で不定箇所に組み込まれてしまう。そこで、NHEJを抑え、相同組換えを活性化して塩基配列相同性で指定したゲノムの特定遺伝子座へ組み込む技術を開発する。特にNHEJに働く遺伝子Ku70、Ku80、Lig4、LiF1、Lif2のそれぞれの破壊株を作成し、相同DNA組換え率を高め、高速遺伝子進化の効率化を図る。

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