| 環境浄化能等のある微生物·植物の分子育種 土壌細菌の遺伝子発現解析と有用土壌細菌のデザイン
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| Abstract 枯草菌グルコマンナン分解利用オペロンの解析が完了し、分泌性マンナナーゼ酵素の有効利用に目処がついた。 (1) 環境に放出される生物由来の有機物はタンパク質、多糖、脂質、核酸などを含んでいる。従って環境浄化にはこれらの分解が重要であり、分泌性分解酵素の遺伝子の発現が高まることが重要である。枯草菌はゲノム解析が進んでいて分泌酵素の研究も進んでいる。これらのうちでタンパク質、多糖、脂質、核酸を分解する分泌性分解酵素遺伝子の転写誘導物質の探索を、食品食材と 2 成分制御シグナル伝達系を用いて検索した。タンパク質分解酵素遺伝子を含む 8 オペロン、多糖分解酵素遺伝子を含む 18 オペロン、脂質分解酵素遺伝子を含む 3 オペロン、核酸分解酵素遺伝子を含む 9 オペロンのプロモーターをプラスミド pMUTIN へクローニングし、lacZ 遺伝子に転写融合する。さらにこの組換えプラスミドを枯草菌染色体へ挿入した株を作成する。 これらの枯草菌株は分泌性タンパク質遺伝子が外来の食材(生ゴミ基質)によって転写発現が誘導される場合、X-gal 寒天平板培地上で青色を呈する。あらゆる種類の食材(野菜、果物、肉、魚、飲料、香辛料など)400 種を用意する。X-gal を含む栄養寒天培地に指示菌を塗布し、食材サンプルを置き一晩培養する。誘導物質がある場合はサンプルの周辺が青く染まる。 バクテリア遺伝子の発現は時として外部からのシグナルを伝達して(2成分制御系によるリン酸リレー)亢進する。ゲノム解析で判明した枯草菌の 36 の 2 成分制御系のうちの 28 の制御因子を多コピープラスミド pDG148 にクローン化したものを用意した。分泌性分解酵素遺伝子でシグナル伝達を受けるものを検索した。 (2) 殊にグルコマンナン分解利用オペロンの解析を並列して進めた。このオペロンは日欧共同研究のゲノム解析中に定家研究室で発見したものである。ORF から推定したアミノ酸配列比較によって、コンニャクの主成分であるグルコマンナン分解分泌性マンナナーゼのオペロンと推定されていた。 | | | |