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平成14年度事業開始
埼玉県 「高速分子進化による高機能バイオ分子の創出」
  152-154
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高速分子進化の環境応用
低曝気活性汚泥法の原理の解明と最適化

Abstract  (1) 低曝気活性汚泥法の原理の解明と最適化
従来の曝気型活性汚泥システムを低曝気運転すると汚泥生成が抑制され臭気の発生も軽減される。浄化槽の主役はバクテリアなので、推定される機構は、バクテリアの呼吸が酸素呼吸から硝酸などを使った呼吸に変化し、有機物分解能が維持されているにもかかわらず、呼吸によるエネルギー生成量が抑制され、汚泥発生量が低減することである。これを実証するために、大型浄化槽で曝気量を下げた活性汚泥法を実施し、浄化槽中のバクテリア集団のメタゲノム解析を行うとともに、各種浄化槽パラメータの測定を行い、物質収支の推定を行う。
浄化槽サンプルから DNA を抽出し、どのバクテリアゲノムにも存在するリボソーム遺伝子を解析することによって、バクテリアの種類と数を推定する方法が賢明である。これをメタゲノム解析と言う。詳しくは PCR 増幅して得られた 16S リボソーム DNA をプラスミドにクローン化し、5’末端側または 3’末端側をシークエンスし、浄化槽中のバクテリアの分類を行うものである。クローン数は単純に浄化槽サンプル中のバクテリア数を反映しており、クローン数の多いものほど、実在のバクテリアが多いものと考えられる。
(2) 低曝気活性汚泥法により醸成する生理活性を持つ処理水の機能解析と応用
低曝気活性汚泥法では流入調整槽及び反応槽へ処理水を戻し、家畜屎尿の場合は家畜屎尿堆肥作成の過程で処理水を散布する。
家畜屎尿を低曝気回分式浄化槽で処理すると2週間で悪臭(硫化水素とメチルメルカプトン)がなくなる。この上澄みを堆肥作成過程に散布する。1ヶ月で出来上がった堆肥は堆肥としての特性を備えていて、臭気が少ない。乳牛畜舎2カ所、養豚畜舎1カ所、畜産研究所(牛と豚)1カ所に低曝気回分式浄化槽を設置して消臭効果を確認した。

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