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平成14年度事業開始
埼玉県 「高速分子進化による高機能バイオ分子の創出」
  134-138
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相同組換えによる高速ゲノム進化法の開発
相同組換えの頻度増大と高速ゲノム進化への応用

Abstract  有性生殖は相同組換えによる遺伝情報再編成過程であり、突然変異とともに進化の重要な機構である。生体において、有性生殖の原理を用いた人為的ジーンコンバージョン型相同的組換えの超高頻度誘導で、突然変異などで多様化した DNA 配列間のシャッフルを行う。この手法で遺伝子を高速進化させる技術を開発することに成功した。
(1)人為的ジーンコンバージョン型相同的組換えの超高頻度誘導による遺伝子高速進化の一例として、よく似てはいるが多様化した単位の繰り返し配列群のそれぞれの部分を抗体可変領域遺伝子座へ写し取る形のジーンコンバージョンですべての抗原に対する抗体の産生が行われるニワトリの系に注目した。そのBリンパ球細胞由来の株化細胞DT40の抗体遺伝子座におけるジーンコンバージョンを活性化して抗体遺伝子の多様化を促すことにより、任意の抗原に対する特異性を保持するモノクローン抗体分子を迅速に作製するADLibシステムを確立した。ADLibシステムにより、診断・試験・治療用のモノクローン抗体試薬の高速創製技術の中核を提供した。
(2)アカパンカビを実験材料として、非相同的DNA末端結合 (NHEJ) を抑制することで細胞外から導入したDNAのゲノムDNAへの非特異的組み込みを抑制することで、相同DNA組換えによる遺伝子ターゲットを実現する目的で、相同組換え、非相同組換えに経路制御に関係する遺伝子の単離と機能解析を行った。その結果を基に、高速遺伝子進化のより効率化を図った。
(3)減数分裂期におこるRIP (Repeat induced point mutations) は高頻度標的突然変異導入ができる赤パンカビ特有な遺伝現象である。それに関わると考えられる遺伝子の同定と機能解析を行う試みをおこなったが、次の遺伝子ターゲット技術開発が軌道に乗ったので、この課題は中断した。

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