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平成13年度事業開始
千葉県 「ゲノム情報を基本とした次世代先端技術開発」
  184-185
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DNA・抗体マイクロアレイの作製技術開発及びその作製・評価
免疫細胞の機能分化に関わる遺伝子並びに遺伝子産物の解析2

中山 俊憲1)
1) 千葉大学大学院 医学研究院 免疫発生学
Abstract  生体内に侵入したアレルゲン(抗原)は、抗原提示細胞によりナイーブヘルパーT(Th)細胞に提示される。抗原を認識したTh細胞は活性化し、サイトカインなどの影響を受けながらTh1細胞、またはTh2細胞へ分化する。通常、生体内で保たれているTh1/Th2バランスが何らかの原因によって崩れ、Th2細胞優位になるとアレルギーが誘発される。Th2細胞から産生されるIL-4はB細胞のクラススイッチを引き起こし、アレルゲンに対するIgE抗体の産生を誘導する。大量に産生されたIgE抗体は、肥満細胞上の高親和性IgE受容体(Fc・RI)に結合する。そこに再び抗原が侵入すると肥満細胞上のFc・RIが架橋され、ヒスタミンやロイコトリエンなどのケミカルメディエーターが放出される。これらのケミカルメディエーターは血管透過性の亢進や気道の収縮、知覚神経刺激などを引き起こし、I型アレルギーの症状を呈することになる。また、Th2細胞の産生するIL-5は好酸球の生存を促進し、喘息などの気管支炎症に重篤な症状を及ぼすと考えられる。つまりTh2細胞は、これらのI型アレルギー反応の根源に位置する細胞と捉えることができる。このことから、アレルゲンに対するTh2細胞の分化や機能を抑制することは、アレルギーの根治療法の確立に繋がると考えられている。しかし、ヒトTh細胞の機能変化を正確かつ簡便に評価する方法が開発されていなかった。そこで、本研究ではヒト末梢血単核球からナイーブTh細胞を精製し、in vitroにおいて遺伝子導入または薬剤の添加を行いTh1/Th2細胞を分化させた後、細胞内染色法によりTh1/Th2細胞分化パターンの変化を、さらにDNAマイクロアレイにより特異的な遺伝子発現パターンの変化を検討することで導入遺伝子や薬剤の機能を評価するシステムの開発を目指した。

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