TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


平成13年度事業開始
千葉県 「ゲノム情報を基本とした次世代先端技術開発」
  183
[PDF (257K)


DNA・抗体マイクロアレイの作製技術開発及びその作製・評価
DNA損傷修復過程におけるNFBD1/KIAA0170蛋白質の機能解析

中川原 章1)
1) 千葉県がんセンター
Abstract  かずさDNA研究所においてクローニングされたKIAA0170遺伝子は、そのカルボキシル末端にBRCTドメインと称される特徴的な構造を持つ核蛋白質をコードする。我々は既にKIAA0170蛋白質が抗アポトーシス活性を持つことを明らかにし、この蛋白質をNFBD1(nuclear factor with BRCT domain 1)と命名した。本研究では、DNA損傷修復過程におけるNFBD1の機能を調べる目的で、野生型p53を発現するヒト肺がん由来のA549細胞をモデルシステムとして実験を行った。その結果、制癌剤の一種であるアドリアマイシン処理によるアポトーシス誘導過程において、p53の発現昂進およびNFBD1の発現低下が認められた。さらに、NFBD1はそのBRCTドメインを介してp53と結合し、DNA損傷に応答したそのリン酸化を阻害することによって、p53のアポトーシス誘導活性を抑制する機能を持つことが判明した。従って、今回の実験結果はNFBD1がp53の活性を制御することによって、DNA損傷に応答した細胞の運命決定に重要な役割を果たしていることを示唆した。

[PDF (257K)

Copyright (c) 2007 独立行政法人 科学技術振興機構