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平成13年度事業開始
長崎県 「ミクロ海洋生物による海洋環境保全・生物生産に関する技術開発」
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ミクロ海洋生物の生理機能の探索と応用
ミクロ海洋生物の生理活性探索と医薬品素材生産への応用
老化・がん化抑制活性を持つミクロ海洋生物の探索

小林 信之1), 児玉 靖司1), 鈴木 啓司1), 竹下 哲史2), 中島 琢自3)
1) 長崎大学大学院医歯薬学総合研究科
2) 長崎大学地域共同研究センター
3) 長崎県産業振興財団
Abstract  色素細胞の老化に伴うメラニン産生の制御異常によるシミ・ソバカス形成の抑制剤の開発は、21世紀型長寿社会を迎えて今後ますます需要が多くなると考えられる。一方で、現在死亡原因の第1位を占める悪性腫瘍に対する副作用の少ない抗がん剤の開発が強く望まれている。そこで本プロジェクトでは、現在、メラニン生成抑制剤として多用されているアスコルビン酸とは作用機序の異なるメラニン生成抑制成分、およびがん細胞への特異性を高めた抗がん剤開発を指向してのテロメレース抑制成分をミクロ海洋生物分泌物から分離することを目的とした。メラニン生成抑制を指標とし、2株の陽性細菌を分離した。これらの16SrRNA遺伝子の塩基配列を解析した結果、新規細菌である可能性が高いことが分かった。どちらの活性成分も、熱に安定であり、還元能を持たず、分子量は3000以下であり、極性が大きいものであることが明らかになった。一方、テロメレース抑制を指標として、6株の陽性細菌を分離した。このうち、1株は活性が強く、培養上清20倍希釈で、ヒト肺がん細胞のテロメレース活性を90%以上抑制することがわかった。さらに、2種のヒトがん細胞について、その増殖を約40%抑制する効果があることが明らかになった。

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