TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


平成13年度事業開始
長崎県 「ミクロ海洋生物による海洋環境保全・生物生産に関する技術開発」
  55-56
[PDF (49K)


赤潮プランクトンの生理化学的分析
赤潮プランクトンの生理化学的分析 (物理的破壊の有効性)

藤田 雄二1), 小田 達也1), 山口 健一1), 中島 琢自2), 宮崎 洋介2), 亀川 加奈子2), 諸石 圭一2)
1) 長崎大学・水産学部・海洋生物機能科学講座
2) (財)長崎県産業振興財団
Abstract  赤潮による被害は現在も頻発しており、その被害総額は場合によっては数億円に達する。しかしながら赤潮防除対策については未だ有効な方法が確立されていないのが現状である。これまで、毒性が強く甚大な漁業被害を引き起こすことが知られている赤潮原因プランクトンの毒性発現機構について研究を行っているが、赤潮プランクトンの魚介類に対する毒性はその種類により大きく異なることがわかってきた。従って、その防除法の確立にはそれぞれの赤潮プランクトンの生理化学的諸性質の解明が必要となる。一方、二枚貝に対して強い毒性を示す赤潮プランクトン、Heterocapsa circularisquama や強い魚毒性が知られているChattonella marina は物理的細胞破壊により、その毒性が著しく低下することを見出している。さらに、これらの赤潮プランクトンの場合、自らの細胞破壊が周辺の他の同類プランクトンの毒性を中和する現象も観察されており、物理的細胞破壊が有効な赤潮防除法となると考えられる。一般に、多くの赤潮プランクトン細胞は強固な細胞壁を持たず、物理的強度に劣っており、単なる撹拌によっても、細胞形態が変化したり、一部細胞が破壊されたりする。本研究では、特に大きな漁業被害の原因となる代表的赤潮プランクトンである、H.circularisquamaC.marina を中心として、赤潮プランクトン自身が持つ生物生理学的特性の解明を目指すと共に、得られた知見に立脚した赤潮防除法の開発、特に物理的細胞破壊或いは撹拌の有効性についての解明を目的とする。

[PDF (49K)

Copyright (c) 2007 独立行政法人 科学技術振興機構