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平成12年度事業開始
神戸市 「再生医療にかかる総合的技術基盤開発」
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CPC(細胞培養センター)を利用した血液・血管の再生研究
増幅ヒト造血幹細胞評価系の確立及び応用

中畑 龍俊1), 平家 俊男1)
1) (財)先端医療振興財団
Abstract  体外で増幅させたヒト造血幹細胞の安全性および機能評価としては、一つには増幅した細胞の表面抗原を解析する方法、半固形培地を用いて血液コロニーを観察し、前駆細胞の半定量を行う方法、骨髄ストローマ細胞との共培養にて長期に維持できるコロニーを測定するLTC-IC法などのin vitro試験が行われている。しかし、造血幹細胞は自己複製能と分化能を持ち合わせた細胞であり、これらの機能解析を行う最も適した方法は、現在のところ免疫不全マウスに移植した系で造血再構築能と測定する方法である。
本研究ではex vivo増幅させた臍帯血造血幹細胞を免疫不全マウスに移植した系で、安全性および効能の評価を行う。また従来行われてきた造血管細胞の評価は重症複合免疫不全マウス(SCIDマウス)に糖尿病自然発症マウス(NODマウス)をかけ合わせたNOD/SCIDマウスにて行われてきたが、ヒト細胞の生着は確認できるものの全ての血液細胞系統への分化の方向を見るのには適していないという問題点があった。特にヒトのT細胞はこのマウスでは再構築されず、細胞性免疫能の再構築を評価は不可能である。最近、NOD/SCIDマウスIL-2、IL-4,IL-7,IL-9,IL-15,IL-21など免疫系細胞に発現するサイトカインレセプターの共通鎖であるcommonγ鎖をノックアウトしたマウスを交配したNOD/SCIDマウスγnullマウスが開発された。このマウスはNK細胞活性も完全に消失しており、より少量の造血管細胞からのヒト血球を生着させ、さらに従来の免疫不全マウスでは観察することができなかったT細胞系の再構築も観察できるようになってきた。
我々はこのマウスを用いて臍帯血CD34陽性細胞を移植し、血系細胞の再構築能を調べるとともに、ヒト免疫能の再構築能の評価を行うことを目標としている。

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