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平成11年度事業開始
愛知県・名古屋市 「循環型環境都市構築のための基盤技術開発」
  pp.99-100
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固形残渣の再利用技術の研究開発
固形残渣の再利用技術
遺伝子組換え技術に関する基礎的研究

鈴木 憲司1), 大宮 邦雄2), 森本 兼司3), スブラマニ ベル3)
1) 産業技術総合研究所
2) 三重大学
3) (財)科学技術交流財団
Abstract  本研究における主目的は、家庭から排出される生ゴミをディスポーザーで破砕し固液分離によって得る固体分(固形残渣)を微生物処理により可溶化し、発生するガスをエネルギー源として利用することにある。
処理方法としてはメタン発酵法を選択する。メタン発酵法は、実用化されている例もあるが、問題点もいくつか挙げられる。中でも処理時間が膨大に要することから迅速なメタン発酵法の確立が求められている。メタン発酵処理では発酵槽を二槽用いることにする。第一発酵槽では、水素生産菌叢で生ゴミを分解して発酵させ、水素や有機酸(酢酸など)を主に生産する。生ゴミ投入時の水素発酵槽のpH は5〜6であるが、発酵が進むと4前後に低下する。第二発酵槽では、第一発酵槽で得られるメタン発酵にとって良い基質を含む液をメタン発酵菌叢で処理してメタンを生産する。この発酵槽では、pHは7〜8に維持される。二槽に分離する理由としては、メタン発酵菌槽に固形残渣を直接投入すると増殖の早い水素発酵菌叢が主要菌叢となり上記のpH変化のためにメタン発酵菌叢が激減するからである。またメタン発酵後の廃液を水素発酵槽へ戻すことで、発酵槽のpH調整を行うことができ、さらに持ち込まれるメタン発酵菌叢中の水素生産菌が優勢となるため水素発酵が進行するという利点がある。一般に、水素・メタン発酵は長時間を要するので、関与する主要菌株(水素生産菌)に遺伝子を導入して固形残渣分解機能や水素生産その他の機能を高め、エネルギー物質への変換反応を促進することも研究目的に含まれる。また生産したメタンガスは有機廃棄物の再資源化技術の研究開発WGの高温ガス化炉へ供給する。
生ごみ固形残渣のメタン発酵により得られるガス(メタン、二酸化炭素)を出発原料として水素を製造する反応及び触媒を決定する。具体的には、メタンの二酸化炭素リフォーミング反応用触媒、同時に副生する一酸化炭素の水性ガスシフト反応用触媒、メタンの直接分解により水素を製造する触媒及び同時に副生する炭素を出発原料として水素を製造する触媒の開発を実施する。しかしながら、水素製造触媒開発は、有機廃棄物の再資源化技術の研究開発WGとの連携を考慮し、メタンガスを供給することが良いとの判断から平成12年度をもって中止した。

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