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平成11年度事業開始
愛知県・名古屋市 「循環型環境都市構築のための基盤技術開発」
  pp.113-114
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都市−里山循環系における環境創出手法の開発
里山の環境・水文学的機能の評価手法の開発

朴 昊澤1)
1) (財)科学技術交流財団
Abstract  里山は都市-森林との循環系におけるインタフェースとして、水循環に深くかかわっている。広域に分布している里山は、地表面に入射する太陽エネルギーの多くの部分を蒸発散に消費して地表面の熱環境を緩和すると同時に、蒸発散により大量の水を循環させている。また、光合成により太陽エネルギーを物質に変換し、地域的物質循環にも大きく影響している。しかし、里山流域内における水・物質循環過程は、気象・立地などの環境条件と樹種や群落構造などの森林条件に大きく依存する。特に森林管理と密接に関わる森林構造の時空間的な変化すなわちその特異性は、里山流域の降雨配分と放射環境を制御し、植生の成長や林内の水及び気象環境の形成に大きく影響する。したがって、里山林において水量と水質を長期的・連続的にモニターすることにより、水・物質循環の実態解明や森林条件の違いが水・物質循環に及ぼす影響が定量的に評価できる。特に、土壌-植生-大気連続系における各因子の系間での相互依存性や日・季節変化などの時間的応答特性の解析は、水・物質の輸送モデルの構築ならびに適正な森林管理技術の開発に不可欠である。一方、森林に取り込まれた放射量は熱エネルギーとして潜熱、顕熱、地中熱、光合成に変換・利用される。この熱収支のあり方により森林の微気象環境、ときには地域気象環境が決まる。そのため、里山林において熱収支を計測し、里山林のエアコンディショナーあるいはラジエータとしての機能を定量的に評価するとともに、林型と機能との関係を評価する。

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