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平成11年度事業開始
愛知県・名古屋市 「循環型環境都市構築のための基盤技術開発(別冊)」
  pp.75-91
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乾式脱硫化水素用活性コークスの製造プロセスの研究開発
森 滋勝1), 小林 潤1), 板谷 義紀1), 小林 信介1), 劉 貴慶1), 山口 正隆2), 浜井 満彦2), 近藤 元博2), 朴 桂林3)
1) 名古屋大学
2) トヨタ自動車(株)
3) (財)科学技術交流財団
Abstract  有機系廃棄物のガス化で得られた生成ガスを燃料電池発電用燃料に利用するプロセスを開発するうえで,生成ガスに含まれる腐食性の強い硫化水素(H2S)や塩化水素(HCl)は,発電性能,耐久性などの点で大きな問題を有しているため,高度なガス精製処理が必要となる.一般に生成ガスに対する脱H2S処理には大きく分けて二つある.一つは湿式法でH2S溶解性の強い溶液で吸収させる方法である.もう一方は乾式法で,カルシウム系や鉄系と反応させる方法や現在,主流となっている活性炭を用いて吸着させる方法がある.乾式法は,湿式法と比較して用水の確保や排水処理の必要がないために,設備をシンプル,低コスト・省エネルギーにできるといったメリットがある.しかし,問題点として現在使用されている活性炭のほとんどがヤシ殻系及び石炭系を原料としており,活性炭の製造コストが高くなるために使用済みの活性炭の再生工程が必要不可欠となる.そのため,活性炭吸着法が普及するためには低コストの活性炭が必要不可欠となる.本研究では,Figure 1に示すように産業廃棄物の中でも最も処分量の多い汚泥や,間伐材,剪定木,建設廃材といった未利用率の高い木質系バイオマスを活性コークスの原料とし,製造工程において,水蒸気を用いた加熱処理のみとすることによって低コストかつワンススルー利用可能な活性コークスの製造プロセスの開発を目的とした.Figure 2に本研究で提案する,活性コークス製造からワンススルー利用のフローを示す.原料である汚泥ペレットもしくは木くずペレットを加熱処理することで汚泥活性コークス・木質活性コークスを製造する.これを用いてH2Sを吸着し,使用済みとなった活性コークスは再生せずに燃焼処理してエネルギー回収を行なう.このとき,吸着されていたH2SはSOxに酸化される.H2Sの状態では回収は困難であるが,このようにSOxの状態で排出されることで,排出されたSOxを消石灰と反応させて石膏に固めて回収することができる.

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