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平成11年度事業開始
愛知県・名古屋市 「循環型環境都市構築のための基盤技術開発(別冊)」
  pp.620-626
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里山の機能評価と都市とのインターフェースの定量化に関する研究
藤江 幸一1), 後藤 尚弘1), 安藤 孝一2)
1) 豊橋技術科学大学
2) (財)科学技術交流財団
Abstract  循環型都市を考える上で、里山の役割、価値と言うものを見直す必要がある。里山とは雑木林、田畑、小川などを含めた人里近くにある様々な生き物の住処であり、かつて日本人は古くから里山の自然と調和した暮らしを営んでいた。しかし昭和30年代を境に手放すようになり、今里山はどこも土地開発の危機に瀕している。しかしながら、近年人々の環境保護に対する意識の高まりと共に、里山を保全しようと言う活動が盛んになっている。特に廃棄物問題の深刻さから大量生産・大量廃棄の人間活動から、循環型都市への移行が求められている事から、循環型都市と里山の新しい関係を提示する必要がある。そこで、本研究は循環型都市における里山の役割を定量的に評価する事を目的とする。里山の役割を評価するうえで、その機能について考えなければならないであろう。ここでは大きく分けて2種類の機能があると考える。1つは、木質系資源の供給能や、炭素吸収・貯蔵機能と言った理工学的機能で、もう1つは、レクリエーション機能、森林浴効果と言った保健的機能や、動物・植物の保護と言った文化資源としての機能と言った社会工学的機能である。理工学的機能、社会工学的機能それぞれを評価するうえで、量的な変化を知る事の出来る理工学的機能についての評価は、比較的容易に行える。しかし、そのような量的な変化を見て取る事の出来ない社会工学的機能を評価するための評価手法が必要である。そこで、本調査研究では、近年様々な分野の環境評価で用いられている評価手法の1 つであるCVM(Contingent Valuation Method;仮想市場評価法)を用い、里山における社会工学的機能についての経済的評価を行った。更に、理工学的機能と社会工学的機能の比較及び、都市とのインターフェースを定量化するために、階層分析法(Analytic Hierarchy Process:AHP)を用いた。

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