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平成11年度事業開始
愛知県・名古屋市 「循環型環境都市構築のための基盤技術開発(別冊)」
  pp.176-186
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広域常温熱輸送システムの研究
田中 洋一1), 田村 守淑1), 相見 優1)
1) 東邦ガス(株)
Abstract  工場地域では製造過程において100℃以下の低温の熱が多量に発生する。しかし、製造現場における利用価値は少なく排熱としてほとんど使われていない。一方、その温度域の熱は一般家庭や事務所等の住居地域における冷暖房、給湯用の熱としては利用価値が高い。効率的な熱輸送法があれば、従来、工場地域で発生し廃棄していた熱を住居地域へ輸送し有効に利用することが可能となる。その結果、省エネルギー、CO2の低減、都市部のヒートアイランド現象の緩和に寄与できる。図1に示すように、従来の温熱輸送では蒸気、温水を熱媒体とし、冷熱輸送では冷水を熱媒体としてパイプラインを用いた方式が取られている。これらの方法では放熱や圧損のために輸送距離が比較的短く、1〜2km程度が限度であると考えられ、遠隔の熱需要地まで熱を輸送することは難しい。また、この方式は放熱分も含めて多量の熱媒体を輸送するために、大きなパイプラインが必要であり、多大な建設コストと搬送動力が必要な輸送方式となっている。工場地域で発生する低温排熱を効率的に住居地域に輸送し、有効に熱利用できる技術として溶液による熱輸送システムが注目されている。本システムは図2に示すように工場などで発生する低温の排熱を常温の冷媒で、パイプラインを用い輸送し、熱需要地において蒸発、吸収作用により、冷熱と温熱を得るものである。本システムは熱媒体を常温で輸送するため放熱がなく、従来の熱輸送法に比べ、長距離輸送、高効率輸送の可能性がある。

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