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平成11年度事業開始
岐阜県 「知的センシング技術に基づく実環境情報処理技術開発 〜人とコンピュータのインターフェイスを大きく高度化させる研究〜(IV 成果報告編)」
  pp.501-545
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高精度CADモデルの生成
山田 俊郎1), 浅野 良直1), 窪田 直樹1), 王 彩華2), 平湯 秀和2), 佐々木 賢司3), 東 哲也3), 辻 正幸4), 川口 昇5)
1) 県生産情報技術研究所
2) 財団法人ソフトピアジャパン
3) 株式会社ジービーシー
4) 徳田工業株式会社
5) 株式会社ケーネットシステムズ
Abstract  本研究では、高精度なCADモデルを生成するため、大きく2つに分けて研究を行った。一つは、実世界にある物体のリバースエンジニアリング等を行うための、形状測定手法の開発である。測定対象物の形状を測定する可搬型3次元測定器と測定環境上の基準物を撮影するデジタルカメラを接合した装置により構成されたシステムで、形状が認識できる最小限の方向より測定対象物を測定後、デジタルカメラで撮影された基準物の位置・大きさにより3次元測定器の空間上の位置を求め、形状測定データの合成に反映することにより、測定対象物全体の形状測定を行い、測定環境上の基準物を参照して測定器の位置を同時に検証できる形状測定器を試作し、実用性の評価を行った。その結果、評価環境で、3次元カメラの2つの画像の平面間の距離の測定精度は、±0.5mm以下となった。二つめは、3次元計測器で得られた高精度なレンジデータからのCADモデル生成である。ここでは更に二つの研究を行った。一つめはGAを用いてレンジデータから超2次曲面を抽出し、それらの超2次曲面を用いて物体のモデリングを行う研究である。この手法は2段階からなる。まず、GAを用いてレンジデータから順次に超2次曲面で当てはめられる最大領域を抽出し、レンジデータを幾つかの超2次曲面に分割する。それらの超2次曲面の大まかなパラメータも同時に得られる。第2段階では、得られた超2次曲面に対してさらにその対応領域のレンジデータで正確なパラメータを求め、物体のモデリングを行う。GAを用いることによって、超2次曲面の当てはめにおけるローカルミニマム問題が解決されることも期待できる。実験では、本手法を人工データと実実測レンジデータに適用し、その有効性を検証した。二つは、平面や2次曲面で構成されたレンジデータから、曲率分布を基にロバストに領域抽出を行い、その結果を基に高精度なCADモデルを再構成する研究である。本手法は、レンジデータから曲率を求めることで曲率ヒストグラムを生成し、確率的手法を用いて分布を取り出すことで、レンジデータから安定した平面や曲面領域を抽出する。次に各領域のパラメータを推定した後、各領域が統合可能かどうかを判定するため、領域同士の当てはめ誤差を計算し、その結果をもとに統合する。最後に、隣接する領域間の接続関係を用いてシーンの記述を行った。また、本手法を用いて既知の物体のレンジデータからモデルの再構成を行い、CADモデルとの精度の比較検証を試みた。上記の二つの研究の他に、没入型6面ディスプレイ上で上記のような手法で得られたモデルを使った建物等の「仮想建築設計システム」や「バーチャルモックアップによる製品評価システム」等の構築を行った。

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