TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


平成9年度事業開始
福岡県 「新光・電子デバイス技術基盤の確立 −新光・電子デバイスの開発による計測・制御・情報技術の創成−(別添)」
  465-476
[Image PDF (476K)


機能性薄膜のデバイス応用とデバイス製造・評価装置の開発
走査型プローブ顕微鏡を用いた局所的紫外・X線光電子分光技術の開発

産業技術総合研究所, 福岡県産業・科学技術振興財団
Abstract  有機電界発光や有機太陽電池などの光電変換有機材料の設計及び分析のためには、不均一凝集体において、個別の有機分子の電子状態(電子親和力、イオン化ポテンシャル等)を定量的に知ることが極めて重要である。
従来では、収束した光ビームを走査する顕徴光電子分光装置や、紫外線照射によって放出された電子を、電子レンズにより画像化する光電子放出顕微鏡(PEEM)を用いている。また、顕微光電子分光装置は、空間分解能が最小でも1μm程度であり、また計測処理室内は真空を必要とする。PEEMは、電子顕微鏡の一種であり、50nm程度の空間分解能が得られるが、真空が必要であることと、一般的に感度が低く、高感度のCCDを用いても鮮明な像を得るためには、長時間測定が必要である。
これに対して、開発を進めている光電子プローブ顕微鏡は、紫外線のパルス照射によって、有機材料表面からの光電子を放出させ、その残留荷電の面内分布を、nm単位の空間分解能で検出でき、かつ、真空が不要であり、電子1粒を検出できるほど高感度性を有している。この方法は、励起光の集光性によらず、独立に走査プローブを用い、局所的に光電子検出を行うことを特徴とし、有機電界発光材料の評価に有効な手法の1つとして期待される。
産業用装置で、試料を所定位置まで移動させる位置決め機構は、装置の中で重要な機構であり、正確さと安定性を求められる。紫外・X線光電子ナノプローブ顕微鏡を含め、各種顕微鏡で様々な種類が使用されている。
いずれの場合も、測定する試料を、サブμmオーダの精密な位置決めを、任意に素早く行うことを必要とされ、また、低温や高真空でも安定した性能が求められる。
さらに、顕微鏡処理室を想定した場合、装置のコンパクト化は重要な要素となる。
これらの要求に応えるため、本研究では簡単な構造で、かつ、精密な位置決めと素早い荒微動を実現するステージの基礎概念を考案し、これについて設計製作を行い、製作した試作モデルを用い、その性能を検証したものである。

[Image PDF (476K)

Copyright (c) 2005 独立行政法人 科学技術振興機構