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平成9年度事業開始
福岡県 「新光・電子デバイス技術基盤の確立 −新光・電子デバイスの開発による計測・制御・情報技術の創成−(別添)」
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機能性薄膜のデバイス応用とデバイス製造・評価装置の開発
チタン酸バリウム薄膜の開発

福岡県工業技術センター 機械電子研究所, 福岡県工業技術センター 化学繊維研究所
Abstract  携帯電話をはじめとする情報産業分野の光・電子デバイスには、高速化、高容量化、小型化が要求され、それを実現するための高機能デバイスの研究開発が広く精力的に進められている。チタン酸バリウム(BaTiO3; 以降BTO)やチタン酸ジルコン酸鉛(PZT)に代表される強誘電体材料は、コンデンサやメモリ材料を始めとしてエレクトロニクスの分野で広く利用されているが、それらのデバイスのさらなる小型・高性能化のためには素子の薄膜化が不可欠であり、高機能・高品質な強誘電体特性を持つ薄膜の製造技術の確立が鍵となる。薄膜の製造法としては、スパッタリングや有機金属化合物を用いた化学気相蒸着(MOCVD)等の気相法やゾル‐ゲル法に代表される液相法が多用されている。PZTの場合、気相法でも液相法でも良好な強誘電体特性(明確なヒステレシス曲線及びキュリー点でのシャープな誘電率ピーク)を持つ結晶性薄膜が比較的容易に得られるが、BTOの場合、強誘電体特性を示す薄膜の合成が数例(気相法 1)、ゾル‐ゲル法2-5)報告されてはいるが、実用レベルの作製法は確立されていない。
本研究では、高機能・高品質な強誘電体特性を持つ薄膜を、より低温で製造する技術の確立を目的として、高濃度ゾル‐ゲル法6,7)を用いたBTO結晶性ゲル合成方法、および得られたBTO結晶粒子を直接成膜する方法を基盤としたBTO強誘電体薄膜の低温合成法について研究を行った。その結果、高濃度ゾル‐ゲル法によって得られたBTO結晶粒子は、サイズが数nmで十分に高い結晶性を持つこと、合成条件により結晶化度を制御できることが明らかになった。また、この結晶粒子を溶媒中に分散させたBTO結晶粒子分散液を用いてBTO薄膜の作製が可能であること、作製されたBTO薄膜は、直径30〜100nmの粒子から成る亀裂の無い良好な膜質を有し、比較的良好な誘電特性を示すことが確認された。

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