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平成9年度事業開始
福岡県 「新光・電子デバイス技術基盤の確立 −新光・電子デバイスの開発による計測・制御・情報技術の創成−(別添)」
  327-363
[PDF (2418K)] [引用文献


光機能性無機材料の開発
光機能性セラミックス材料の開発
透光性セラミックスの開発

岡村 研二1), 藤野 茂2), 森永 健次2)
1) 日本タングステン株式会社
2) 九州大学大学院総合理工学研究院
Abstract  本研究では、フェーズI では透光性酸窒化アルミニウムスピネル(AlON)焼結体を開発するために、出発原料であるAlN、Al2O3粉末原料のAlONの透光性に及ぼす影響を調査した。その結果、平均粒子径54nmの超微粒子AlN粉末とγ構造を示す超微粒子Al2O3粉末を用いて常圧反応焼結(2000℃,10h N2雰囲気中)により優れた透過率を示すAlON焼結体を作製する事が出来た(可視域における直線透過率60%)。フェーズI にて透光性に優れたAlONセラミックスの開発に成功したものの、熱衝撃性の点で高温用透過部材として利用できないことが明らかとなった。そこで、フェーズIIでは、熱衝撃性の点でAlONより優れるアルミナ材料に着目し、高強度透光性アルミナセラミックスの開発を行なった。高強度透光性アルミナセラミックスを開発するために、出発原料の超微細化及び焼結プロセッシングについて検討した。アンモニウムアルミニウム炭酸塩(AACH; NH4AlO(OH)HCO3)の熱分解法により得られたγ-アルミナ粉末をボールミル粉砕処理した後、真空雰囲気で焼成することにより、平均粒子径が40nmのα-アルミナ微粉末の作製が可能であることを見出した。緻密な焼結体を得るためにスリップキャスト法によるγ-アルミナ微粉末の成形条件について、(1)微粒子の分散条件(2)ボールミル時間(3)凝集粒子の除去法ならび(4)CIP成形の付加を検討し、相対密度が61%で充填の良い成形体が作製できた。さらに真空雰囲気で1523Kおよび1553Kで12時間焼結させることにより、結晶粒径が約0.5μmで焼結密度が99%以上のα-アルミナ焼結体の作製ができた。更にHIP処理を施すことで従来品のルカロックスよりも均一な透光性(可視域における透過率12%)を示した。しかしながら、要求特性(透過率40%以上)を満たす透光性アルミナセラミックスの開発へは到らなかった。

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