| 光機能性無機材料の開発 光機能性ガラス材料 薄膜型光導波路及び光ファイバ材料の開発 光ファイバ電流センサの開発
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| | | Abstract フェーズIでの成果および森永研究室に蓄積された粘度等のガラスの高温物性やガラス設計に関する多くの研究蓄積を利用して、新規光ファイバの開発と光ファイバ電流センサモジュールの開発を行った。 本開発の初期段階では、福岡県工業技術センターに新規導入された光ファイバ線引装置を使用して、多成分ガラスを用いたシングルモード光ファイバ作製に関する基盤技術の確立を行った。光ファイバの原材料となるプリフォームガラスを準備することで、ファイバ線引と同時に樹脂被覆まで可能となり、連続的かつ所定の径のファイバを安定に製造することが可能となった。 また第二段階として電流センサ用途に新規ガラス材料の開発を行った。電流センサに光ファイバを用いるには、光弾性定数が小さな材料を選定する必要がある。従来センサにも用いられてきた石英ファイバは光弾性定数が3.7×10-12Pa-1と非常に大きく、ファイバの内部に曲げによる複屈折を誘起して直線偏光の偏光状態に影響を及ぼすため、精度良く計測することは材料本来の性質上不利であった。 従って解決策として光弾性定数の小さな材料を電流センサ用光ファイバに使用する提案がなされ、その候補として唯一の材料である高鉛含有ガラスが挙げられた。このガラスは昔から広く知られている安定で使用しやすいガラスであるが、材料組成を選定することで光弾性定数が0.01×10-12Pa-1以下の極めて小さな値を取ることが報告されている。しかしながらこの系のガラスは有害な鉛を高含有量含むこと、石英の屈折率1.47程度に対し1.85以上の極めて高い屈折率を有するために石英ファイバとの接続性や広く普及している石英ファイバ用部材を転用することに難点があり、実用上は必ずしも徴用されていない。我々は石英系ファイバおよび同部材とのマッチング性を備えた非鉛含有系の新規低屈折率・低光弾性材料の開発を行った。低光弾性材料はファイバ用途以外でも最近は液晶プロジェクタレンズ用等のバルクタイプのものでも注目されている。 第三段階としては開発した新規低光弾性材料を用いて、ファイバ化の検討を行った。この段階では特に加熱線引き時の材料の結晶化の問題が顕在化し、結晶化を防ぐための組成改良を中心に実施した。 開発の最終段階では、得られた光ファイバを用いて大電流計測用電流センサモジュールを作製し、実際に電流センサとしての実証試験を実施した。 | | | |