TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


「生命活動のプログラム」平成8年度採択研究課題 終了シンポジウム  36-40
[Image PDF (2629K)] [成果一覧


ゲノムインプリンティング制御メカニズムとその異常
押村 光雄1)
1) 鳥取大学 医学部
ゲノムインプリンティング(ゲノム刷り込み現象)とは、父母由来の対立遺伝子が識別され異なる発現レベルを示す現象である。親由来に偏りのある染色体異常を伴う先天性疾患において刷り込み遺伝子の発現異常が認められることから、組織特異的/時期特異的な刷り込みの正確な制御が正常な個体発生と生理機能の維持に重要であると考えられる。ヒトでは先天性疾患例における分子遺伝学的解析、実験的にはマウス遺伝学を中心に研究が進められてきた。これらに加えin vitroでの細胞遺伝学実験が可能になれば、インプリンティング制御の分子機構解明に役立つと期待された。そこで我々は培養細胞を利用したインプリティング解析系の開発を目標に、親起源の明らかなヒト正常染色体を1本含むマウスA9細胞ライブラリーを作製してきた。本研究ではゲノムインプリンティング制御機構を包括的に理解することを目的として、この新規の実験系を用いたアプローチにより、1)ゲノム刷り込みを受けるヒト遺伝子の単離、2)刷り込み遺伝子のドメインレベルでの発現制御を司るインプリンティングセンターの同定を行った。また、体細胞でのエピジェネティックな変異によるゲノムインプリンティングの異常はがんの発生と深い関わりを持つことから、3)インプリンティング異常の個体差と発がんにおける役割を明らかにすることを目指した(図1)。

[Image PDF (2629K)] [成果一覧

Copyright (c) 2002 科学技術振興事業団