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「生命活動のプログラム」平成8年度採択研究課題 終了シンポジウム  30-34
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溶液内におけるタンパク質の立体構造決定の新戦略
甲斐荘 正恒1)
1) 東京都立大学·大学院理学研究科
タンパク質や核酸など、いわゆる生体高分子の溶液内における立体構造は、NMR法の発展によりはじめて決定することができるようになった。立体構造決定技術としてのNMRの歴史は20年に満たず、未だ揺籃期にある手法ではあるが、生体高分子が実際に機能を果たす場—溶液や生体膜—において適用可能である特徴は、この手法を他に代えがたい重要なものとしている。しかしながら、従来のNMR法の技術水準では構造決定可能なタンパク質の分子量限界は高々3万程度に過ぎず、しかも生物機能解析に必要な高精度の立体構造決定という意味では、NMR法は現時点においても様々な未解決の問題を抱えている。本プロジェクトで開発をめざした新しい安定同位体利用NMR技術は、立体構造決定における分子量限界を大きく広げると同時に、アミノ酸残基側鎖迄含めたタンパク質の構造解析精度を飛躍的に高め、かつ解析に要する時間を大幅に短縮することを意図したものである。従って、本技術の完成はNMRによる立体構造決定法の高度化に止まらず、様々な次世代のNMR応用分野における世界標準技術を生み出す基盤を与えることになろう。

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