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平成13年度シンポジウム 分子複合系の構築と機能  72-72
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アルキン類の位置および立体選択的炭素—
北條 信1), 細見 彰1)
1) 筑波大化
有機リチウム反応剤は求核剤として炭素-炭素結合形成に有用であるばかりではなく、他の金属塩へのトランスメタル化を経て多様な有機金属反応剤にも変換が可能であるため、基盤的で重要な有機金属反応剤の1つとして広く用いられている。一方アルキン類に対する炭素-金属化反応は、炭素-炭素結合形成と共に新たにビニル金属種が生成し、更なる炭素-炭素結合形成反応や官能基化反応に利用できるため、有機合成化学的に重要な反応である。しかしながら従来の炭素-金属化反応で生じるビニル金属種の中で、4置換オレフィンの合成など、更なる炭素骨格を伸長するために十分な求核性を示すものは少ない。炭素-リチウム化反応は高反応性のビニルリチウム種の生成が期待できるが、共役した電子吸引基を有さない低反応性のアルキン類の反応に対しては、有機リチウム反応剤が高い塩基性を示すために、通常脱プロトン化や異性化などの多くの副反応を併発する。従って、これまでの研究はこの様な反応を起こさない特定のアルキン類に関するものに限られており、それでも尚、ビニルリチウム中間体が容易に異性化を起こす傾向があるために、立体選択的反応は達成されていなかった。

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