| サレンルテニウム錯体を用いる第一級アルコールの化学選択的酸素酸化反応
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| 宮田 篤1), 村上 正和1), 入江 亮1), 香月 勗1) |
| | | 複雑な構造をもつ天然有機化合物などの合成では、第二級アルコー ことがしばしば必要となる。この目的のためにこれまでに多くの手法が開発されてきたが、それらの大部分は量論量の化学的酸化剤を必要としており、原子効率の低さ、環境への負荷が問題となっている。この両者を解決する酸化法として、分子状酸素を用いる触媒的酸化が注目されている。最近優れたアルコールの触媒的酸素酸化がいくつか報告されているが、これらの手法の多くは第二級アルコールも酸化することが知られている。以前著者らは、可視光照射下で活性化されるキラルなサレンルテニウム錯体を触媒に用いて、ラセミ第二級アルコールのエナンチオマー区別的酸素酸化を報告した。この反応では、アルコール酸素がルテニウムイオンに配位してからケトンに酸化される。一方、サレン錯体では金属イオンとエチレンジアミン部からなる5員環キレートが半イス型もしくはエンベロープ型の配座をとることが知られている。この二つの点から、キレート環上にアキシアル置換基を導入することができれば、アルコールの立体的嵩高さを区別して酸化ができるものと期待された。 | | | |