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平成13年度シンポジウム 分子複合系の構築と機能  65-65
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抗ウイルス化合物プラジミシン類の全合成研究
大類 麻美1)2), 大森 建1)2), 加藤 裕久1)2), 田宮 実1)2), 鈴木 啓介1)2)
1) 東工大院理工
2) CREST
抗真菌、HIV性化合物プラジミシン類の活性は、特定糖鎖との相互作用に由来するとされている。多環性芳香族、糖、アミノ酸とから成るその構造は、有機合成的に種々の問題を提起する。我々は、この化合物群の全合成研究を行い、すでにそのアグリコン部の合成に成功している。引き続き、このアグリコン部への糖の導入を検討中であるが、ここでの問題はB環部位ジオールにある擬似C2対称性の存在である。実際、初期的な糖の導入の試みでは、位置選択性は見られなかった。そこで合成中間体として、一方の水酸基をベンジル基で保護した1を設計し、その合成を検討した。その結果、アセタール-アルデヒド間のピナコール型分子内環化反応によって効率的な構築が可能であることを見出した。すなわち、化合物2にSmI2およびBF3·OEt2を作用させると、立体選択的に反応が進行し、対応するトランス体1が高収率で得られた。現在、この知見をもとに全合成の完遂を目指している。

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