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平成13年度シンポジウム 分子複合系の構築と機能  60-60
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新しい抗寄生虫活性物質nafuredinの全合成
高野 大介1), 長光 亨2), 宇井 英明1), 山口 裕一2), 塩見 和朗2), 増間 碌郎2), 桑嶋 功2), 大村 智2)
1) 北里大薬
2) 北里大生命研
寄生虫症は感染者数が延べ40億人以上と、世界で最も患者数の多い疾患である。最近では、寄生虫症による死者は世界中で300万人近いといわれ、現在用いられている抗寄生虫剤の耐性種の出現もありその数は増加する傾向にある。このような寄生虫症対策が世界的な重要課題となっている中で、従来とは異なる新しい作用機作を持つ抗寄生虫剤が望まれている。このような背景のもと北里研究所で発見されたnafuredinは、寄生虫のNADH-fumarate reductaseのcomplex Iを選択的に阻害する始めての物質であり、強い貧血を引き起こし、死に至らしめることもある捻転胃虫のヒツジに対する感染治療実験において、2mg/kgの経口投与で著効を示し毒性は見られなかったことから、今後の医薬品としての開発が大きく期待されている。今回我々は、この興味ある活性を示すnafuredinの全合成ルートの確立に成功したので報告する。

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