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平成13年度シンポジウム 分子複合系の構築と機能  60-60
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カズサマイシンの全合成研究
新井 則義1), 力石 典子1), 桑嶋 功1)
1) 北里大·生命科学研
カズサマイシンは放線菌代謝産物として単離され, 強力な抗腫瘍活性を示すことが知られている。その構造については,不飽和ラクトン,二カ所の共役ジエン,カルボニル基を挟んだ4連続不斉中心によって特徴づけられる平面構造が決定されているのみで, 生理活性の発現と密接な関連のある立体配置については,絶対配置が未知であることに加え, 相対配置にも未決定の部分が残されている。そこで我々は, 合成的アプローチによるカズサマイシンの絶対立体配置の決定,および活性評価のためのサンプル供給経路の確立を目的として, 全合成研究に着手した。実際の合成にあたっては, 既知のデータおよび類縁体の構造からカズサマイシンの立体配置を図のように想定したうえで, 5つのセグメントに分け, キラルなシクロプロパンから誘導される亜鉛化合物とハロアルケンとのカップリング反応,酵素を利用した非対称化,等により各部を構築した後,それらを結合させる計画である。現在,鍵反応であるセグメントBのスズ(II)エノラートとアルデヒドAとの立体選択的アルドール反応による不斉中心の構築,およびセグメントDの合成はほぼ完了し, セグメントEの合成,および各セグメントの結合方法について検討を進めている。

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