| 人工細胞モデルの構築 巨大リポソーム内部での生化学反応
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| 野村 M. 慎一郎1)2), 湊元 幹太1)3), 中谷 陽一4), 吉川 研一1)2) |
| 1) CREST 2) 京大院理 3) 名大院 4) Université Louis Pasteur |
| | われわれは、生細胞の内部に形成される環境の特異性に着目し、水溶液中で自発的に形成される細胞サイズのリポソーム(直径∼10μm)を用いて人工細胞モデルの構築を試みている。これまでに、長鎖のDNA分子やタンパク質によって構造制御したDNA分子を封入した細胞サイズリポソームの形成に成功してきている。今回は、静置水和法によって形成された細胞サイズのリポソームの内部で、T7ファージDNAの転写反応を行わせた実験の結果について発表する。DNAおよび転写産物のRNA分子を、色素を用いて可視化し蛍光顕微鏡による直接観察を行った。リポソーム外部にribonucleaseを加えても転写反応は阻害されず、リポソームの脂質膜がribonucleaseの攻撃から転写反応系を保護するバリアとして振舞うことが示された(図)。今後、タンパク質の発現系等をリポソームに組み込み、直接観察する実験系を構築してゆくことで、反応場としての細胞サイズ環境の役割、特に生化学反応およびその進行におよぼす影響を(バルク溶液中で行う実験に比べ)より詳細に理解することが可能になるものと期待される。 | | | |