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戦略的基礎研究推進事業 平成7年度採択研究課題 研究終了報告  827-837
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CO2倍増時の生態系のFACE実験とモデリング
小林 和彦1)
1) 農業環境技術研究所
大気中のCO2濃度は、氷河期が約1万年前に終わって以来、およそ280 ppmV(1 ppmVは体積比率で100万分の1)前後で推移していたが、18世紀後半から上昇を始め、とりわけ20世紀半ば過ぎから急上昇を続け、2000年現在のCO2濃度は約370ppmVである。20世紀後半のCO2濃度の急上昇は、石炭·石油などの化石燃料の燃焼によるCO2放出が主な原因であり、今後のCO2濃度の推移もまた、人間活動からのCO2放出量の推移に依存する。例えば気候変動枠組み条約に基づく京都議定書で定められたCO2放出量削減が実行されると、大気CO2濃度は今世紀後半に約550 ppmVになると予想される。18世紀以前のCO2濃度のほぼ2倍になるわけであるが、CO2排出削減が不調だと、それが今世紀前半に早まる。また、CO2濃度を今世紀末までに550 ppmVで安定させるためには、先進国はCO2排出量を現在の半分以下に削減し、途上国も同程度に厳しい削減が必要である。いずれにせよ、今世紀後半に、CO2濃度が550 ppm程度になるのは避けられない情勢である。

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