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戦略的基礎研究推進事業 平成7年度採択研究課題 研究終了報告  797-804
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東アジアにおける酸性物質及びオゾンの生成と沈着に関する観測と環境影響評価
秋元 肇1)
1) 地球フロンティア研究システム
東アジア(北東アジア及び東南アジア)における経済発展に伴う工業化は、環境影響物質の放出量を急速に増加させ、この地域の大気質に大きな影響を与えている。そうした大気質変化の具体的な例として、対流圏におけるオゾンと酸性物質の増加現象がある。大気中における生成·輸送·沈着といった大気化学的見地から見た場合、対流圏オゾンの生成と酸性物質の生成とは表裏一体の現象であり、また植生に対する影響を論ずる場合にも常に両者の共存による相乗効果を考慮する必要があることが知られている。しかるに、大気中における酸性物質の増加が「酸性雨」という言葉で広く知れ渡っているのに反し、対流圏オゾンの増加についてはまだ一般にはほとんど認識されていない。特にわが国では1970年代の光化学スモッグによる人体被害が沈静化して以来、オキシダント問題は忘れられ、オゾン·オキシダントの環境影響研究にも一部を除いてほとんど研究予算が投入されていない。一方、1970年代から1990年代の30年間にわたる東アジア地域における経済活動の活性化は、わが国を初めとする東アジア·太平洋周縁地域の対流圏オゾンの増加をもたらし、このままオゾンの増加が続いた場合、酸性物質の沈着と相まって、21世紀の近い将来、この地域に極めて深刻な環境影響をもたらす可能性がある。本プロジェクトでは、こうした認識の下に東アジアにおける対流圏オゾン及び酸性物質の時間的·空間的変動とその要因を定量的に明らかにし、その植生影響の可能性を推定することを目的とした。

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