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戦略的基礎研究推進事業 平成7年度採択研究課題 研究終了報告  603-613
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衝撃波面形成過程と新化学反応プロセス
近藤 建一1)
1) 東京工業大学応用セラミックス研究所
物質を1千万気圧(1TPa、テラパスカル)を越える圧力下におくと、どの物質でも原子当たりの体積は同じようになって、原子の個性が失われてくる。このような超高圧力の極限状態は、衝撃圧縮法以外で実現することが困難である。しかも、実験で得られる圧力やエネルギーの絶対値は、圧力目盛りの一次基準となっている。しかし、その圧縮状態には様々な微細構造が存在し、連続·一様を仮定した流体力学的あるいは熱力学的取り扱いには注意を要する。
一方、衝撃圧縮はパルス的であるから、物質がパルス的な刺激に対してどのような応答をするのかというダイナミクスの観点からも、衝撃圧縮法は重要な研究手法となっている。応答が準平衡もしくは定常に達しているか?、また、その状態に至る過程はどのような経路を通るのか?といった視点からも興味深い問題がある。
ここで注目している衝撃圧縮とは、液体又は固体中(凝縮系物質)を衝撃波が通過中の現象である。そもそも、音波は特別に弱い衝撃波であるから、あらゆる物質が音を伝えるように、衝撃波の伝播は物質に普遍的な音速が支配する現象のひとつである。しかし、強い衝撃波のフロント面は、超高圧力、超高温度、超加速度と、それらが空間的にも時間的にも大きな勾配をもった非平衡反応場となっており、パルス的刺激に対して物質が応答している最中の振る舞いを見せているところである。まさに、衝撃波面は未開拓の極限環境である。

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