| | | | | ストレス応答は、免疫機構を持たない原核生物からヒトなどの高等動物まで、きわめてよく保存され、生体防御の初期反応を担うものとして、普遍的かつ本質的な防御機構を担っている。 本提案研究では、ストレス応答による生体防御機構に注目し、その分子機構を明らかにするために二つの研究テーマを設定した。すなわち、1)ストレス応答を制御しているストレス転写因子に注目しながら、ストレス応答の分子機構を解明する。2)生体防御を担うストレス蛋白質が、ストレスによって細胞内に蓄積してくる変性蛋白質とのどのような相互作用によって、細胞を死から守っているか、ストレス蛋白質の分子シャペロンとしての機能を明らかにする、の二大目標である。 これら二つの柱に沿って、京都大学再生医科学研究所の永田和宏グループ、東京都臨床医学総合研究所の矢原一郎グループ、および奈良先端大学院大学の河野憲二グループが、互いに密接な連携をとりながら研究を進め、以下に示すような顕著な成果をあげることができた。当初設定した目標を十分に達成したばかりでなく、当初は予想もしなかった発展を見せた成果が得られたものと考えている。本研究グループの研究の顕著な特色として、のちに述べるように、研究の多くが、本グループの構成員によって独自に発見されたオリジナルな遺伝子や蛋白質に関する研究であり、その意味で世界の研究をリードする独創性の高い研究成果が得られたこと、さらに、これまでのこの分野の常識にパラダイムシフトを迫るような、斬新な概念の提出を行い、この領域に大きなインパクトを与えることができた点をあげることができる。 | | | |