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「生体防御のメカニズム」平成8年度採択課題終了シンポジウム  1-2
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『超分子システムによる免疫識別の分子機構解明』
「プロテアソームと抗原提示」

田中 啓二1)
1) 東京都臨床医学総合研究所
プロテアソームは生命科学史上最も巨大で複雑なプロテアーゼ複合体であり, 超分子システムを構成している. 26Sプロテアソームは, 触媒ユニットである20Sプロテアソーム(CP:core particle)の両端に調節ユニットであるPA700(RP:regulatory particle)が会合した分子量2.5MDaの巨大な分子集合体であり, 主としてユビキチン化された蛋白質を選択的に分解する真核生物のATP依存性プロテアーゼである。本酵素が内在性抗原の処理に関与することが発見されて以来約10年を経過するが, その作用機構や免疫学的意義については依然として不明なことが多い。われわれは多様な生理機能を担うプロテアソームが抗原プロセシング酵素として作用するとき, ガンマ型インターフェロン等の主要な免疫サイトカインに応答して機能変換し, 抗原提示による免疫識別を巧妙に制御していることを明らかにしてきた。その過程で触媒サブユニットを変換した「免疫プロテアソーム」やPA28とPA700の2種の活性化因子を共有した「ハイブリッドプロテアソーム」を発見し, 適応的な生体防御機構の仕組みについて新しい知見を得た。本講演では, (1)超分子システムシステムとしてのプロテアソームの構造研究の進展, (2)PA28の遺伝学的機能解析, (3)DRiPs(Defective Ribosomal Products:抗原エピトープ生成に利用されるタンパク質分解産物)に迫るシャペロン型ユビキチン連結酵素(品質管理リガーゼ)CHIPの作用機構, 等に焦点を絞って最新の研究成果を報告する。

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