TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  9-9
[Image PDF (31K)


DNAチップによる遺伝性筋疾患の分子病態解明
荒畑 喜一1)
1) 国立精神·神経センター神経研究所疾病研究第1部
組織に発現する多くの遺伝子を解析し、その生理·病理を特徴付ける遺伝子発現プロフィールを知ることによって、疾患の発症メカニズムや病態の鍵となる遺伝子群が明らかとなると期待されている。遺伝性筋疾患の病態を分子レベルで解析するためのデバイスとしてDNAチップ技術に注目し、ヒト筋に発現する遺伝子を一挙に解析可能なヒト筋cDNAマイクロアレイの開発を目指して研究を行った。
公開されたデータベースより骨格筋·心筋に発現する既知のcDNA情報を収集し、筋発現遺伝子のデータベースを構築し、それぞれの遺伝子を増幅するプライマーを用意した。ヒト筋cDNAライブラリーより対応する遺伝子断片をクローン化後、増幅·精製した。既知の筋疾患の原因遺伝子を網羅した遺伝子の断片を表面処理したスライドグラスにスポットし、まずプロトタイプアレイを作製した。
正常およびX染色体劣性EDMD患者由来の線維芽細胞を用いて発現遺伝子を解析した。X-EDMD細胞では常染色体優性EDMDの原因遺伝子であるラミンA/C遺伝子の発現が上昇しており、疾患の類似性と遺伝子発現の相関性が確認された。この結果は、大規模なマイクロアレイを用いた解析によって、疾患特異的な遺伝子発現プロフィールを明らかに出来る事を示唆している。

[Image PDF (31K)

Copyright (c) 2002 科学技術振興事業団