TOP > 巻一覧 > 目次一覧 > 書誌事項


「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  8-8
[Image PDF (32K)


プリオン病修飾因子の同定
—治療·予防法の確立へ向けて—

金子 清俊1)
1) 国立精神·神経センター神経研究所疾病研究第7部
プリオン病は、プリオン蛋白の立体構造変化が病因に関与する疾患である。プリオン蛋白には正常型と異常感染型の2つのアイソフォームが存在するが、その変換機構の詳細は現在も不明である。その変換機構を詳細に検討するために、我々は、まずプリオン蛋白の代謝並びに立体構造変換に関与する分子群をすべて同定することを目指しており、プリオン蛋白の代謝及び立体構造変換の主要な場であるlipid raftsと呼称される画分に注目した研究を展開している。
具体的には、より効率的な研究展開を目指すため2つの新しいプロテオーム解析手法
(2D-phage panning法、in situ phage screening法)の開発を行いながら、現在まで未同定でありながら極めて重要と考えられているプリオン病関連分子として、(1)プリオン蛋白の立体構造変換に直接関与する分子シャペロン様分子(プロテインX)、(2)正常型プリオン蛋白を分解する酵素に注目し、それらを主要な標的とした研究を展開している。
昨今、プリオン病は社会的にも大きく注目され、その治療·予防法の開発は緊急かつ重要な課題である。従来の研究から、上記2つの分子は異常プリオン複製阻害において最も効果的な標的と考えられ、これらを用いた治療·予防法の開発へ向けた研究も進めている。

[Image PDF (32K)

Copyright (c) 2002 科学技術振興事業団