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「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  5-5
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脳関門排出輸送に基づく中枢解毒
寺崎 哲也1)2)
1) 東北大学未来科学技術共同研究センター未来バイオ創製分野
2) 東北大学大学院薬学研究科生体情報薬学講座薬物送達学分野
血液脳関門は、異物の侵入から脳を守る「障壁」として働いていることが知られている。本研究は、血液脳関門に種々の輸送系が働き、脳機能維持に不要な物質が脳内に溜まらないよう解毒機構の役割を果たしていることを明らかにすることを目的とした。肝移行性と腎移行性のモデル有機アニオンとして、各々用いたデヒドロエピアンドロステロン硫酸とインドール硫酸は、異なる輸送系で脳から血液方向へ輸送された。神経伝達物質のモデル基質として用いたGABAはGAT2/BGT1によって脳から排出され、酸性アミノ酸は立体選択的に脳から排出された。ノルエピネフリンを基質とするNETが血液脳関門に発現していた。また、プロリンなどの小型中性アミノ酸はATA2/GlnTによって脳から排出され、この輸送系は高浸透圧条件で顕著に誘導された。さらに、本研究では、温度感受性SV 40 large T抗原遺伝子導入動物から条件的不死化細胞株を樹立し、新規に血液脳関門共培養系を開発した。この培養細胞から有機イオントランスポーター·スーパーファミリーの新規サブファミリーの一員と推定される新しい輸送担体遺伝子を発見した。この新規輸送担体は544個のアミノ酸から構成され、精巣、肝臓、脳に発現していた。これらの新しい血液脳関門の機能に加えて、CRTが循環血液中のクレアチンを脳内へ能動的に運ぶことを明らかにした。

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