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「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  23-23
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cPLA2遺伝子欠損マウスの海馬CA1領域のシナプス可塑性
星野 明美1)2), 加藤 邦夫3), 魚住 尚紀1)2), 清水 孝雄1)2)
1) 東京大院医
2) CREST·JST
3) 東大医精神科
cPLA2は中枢神経系に広範囲に分布し、カルシウム依存性に活性化されて脂質の代謝に関係する酵素である。特にアラキドン酸の活性に関与する酵素として信号伝達系に関与する役割がよく知られていて、虚血や細胞障害後に上昇することから細胞死との関わりが注目されている。cPLA2の遺伝子欠損マウスの生理学的役割を検討するために遺伝子欠損マウスを製作し、海馬スライス標本を用いてCA1領域での神経可塑性に与える影響を電気生理学的に調べてみた。前シナプスの機能の指標となるpaired-pulse inhibitionでは欠損マウスと野生型には差がみられなかった。またLTPの大きさには差がみられなかったが、LTDが誘導されにくい傾向がみとめられたことから、シナプス可塑性に対してアラキドン酸やその代謝物が関与する可能性が示唆された。

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