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「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  22-23
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神経系に発現するG-タンパク質共役型受容体のリガンド探索
横溝 岳彦1)2), 荻谷 洋1)2), 川沢 百可1)2), 石井 聡1)2), 清水 孝雄1)2)
1) CREST·JST
2) 東大院医
ヒトゲノム上には3000種類程度のG-タンパク質共役型受容体(GPCR)が存在すると推定されているがこれまでにリガンドが同定されたものは約400個に過ぎない。リガンドが不明な受容体は孤児受容体(Orphan receptor)と呼ばれ、そのかなりの割合は脂質をリガンドとする受容体であると考える研究者も多い。これまでに我々は血小板活性化因子受容体、二つのロイコトリエンB4受容体遺伝子を単離し、これらを解析することで脂質メディエーターの細胞内、生体内での役割を明らかにしてきた。これらの経験を元に神経系に発現するGPCRのリガンド探索を目指して実験を開始した。様々なGPCRの一次構造との相同性比較を行い、これまでに報告のない受容体も含めて約20種類の孤児受容体の発現ベクターを構築した。これらを一過性、あるいは、安定的に哺乳動物細胞に発現させ、細胞膜への受容体の発現とリガンド探索をおこなっている。一部を除いた多くの孤児受容体は細胞膜への発現が極めて低いレベルにとどまり、これがリガンドの同定を困難にする要因の一つになっていることが明らかとなった。今後はこれらのGPCRの細胞膜への移行のメカニズムとリガンドの同定を目指して実験を行っていきたいと考えている。

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