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「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  21-21
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小脳において登上線維で仲介される脱抑制のシナプス機構
佐竹 伸一郎2), 小林 貴則1)2), 小西 史朗1)2)
1) 三菱生命研
2) CREST·JST
プルキンエ細胞から記録した抑制性シナプス後電流(IPSC)は、登上線維の反復刺激により顕著に抑制される。この脱抑制現象は、AMPA型グルタミン酸受容体の活性化に伴うシナプス前性機構により仲介されたと推定される(Nat.Neurosci.3,551-558,2000)。グルタミン酸取り込み阻害薬(Threo-β-benzyloxyaspartate:TBOA)を用いて、脱抑制のシナプス機構を調べた。登上線維刺激に伴うIPSC抑制は、TBOA(30μM)により有意に増強された。TBOAは興奮性シナプス後電流(EPSC)の減衰時間を増大させたが、EPSCの振幅には影響しなかった。これらの結果から、登上線維刺激に伴うシナプス近傍のグルタミン酸濃度上昇は、籠細胞終末のAMPA受容体を活性化できる可能性が支持された。

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