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「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  19-19
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脳由来神経栄養因子遺伝子導入による培養皮質神経細胞の変化
森島 美絵子1)2), 惣谷 和弘1)2), 高田 直樹1)2), 安田 浩樹1)2), 木村 文隆1)2), 津本 忠治1)2)
1) 阪大院医
2) CREST·JST
脳由来神経栄養因子(BDNF)は最近になって神経回路の活動依存的変化に重要な働きをしていることが明らかになってきた。本研究では、培養皮質神経細胞にBDNF-GFP遺伝子を導入し、コントロールとして同時にGFP遺伝子のみを導入した別の細胞との比較によってBDNFが神経細胞の形態に及ぼす作用について定量的に解析した。その結果、BDNF-GFPを発現した細胞はGFPのみを発現した細胞と比較して細胞体の面積、神経突起の合計の長さには変化がないが、神経突起の数、神経突起の分岐点の数が増加した。さらに神経突起の枝分かれの特性についても調べたところ細胞体近傍で神経突起が増加し、枝分かれの複雑さも増したことがわかった。以上の結果から、BDNFは神経突起、特に細胞体近傍の突起の形成や発達に影響を及ぼすと考えられた。

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