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「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  19-19
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脳由来神経栄養因子ノックアウトマウス視覚野におけるシナプス長期抑圧
北村 明彦1)3), 木下 秀一郎1)3), 伊丹 千晶2), 中村 俊2), 津本 忠治1)3)
1) 阪大院医
2) 国立精神·神経セ
3) CREST·JST
脳由来神経栄養因子(BDNF)はシナプスの発達と可塑性に重要であることが示されている。我々は今まで、ラットの大脳皮質視覚野の脳切片標本において、BDNFがシナプス長期抑圧(LTD)を阻止することを報告した。このBDNFの役割をさらに検討するため、BDNFノックアウトマウスを用いて実験を行った。生後6∼10日のマウス大脳皮質視覚野の脳切片標本において、II/III層の錐体細胞をホールセル·パッチクランプ法により膜電位固定し、IV層刺激に対するExcitatory postsynaptic currents(EPSCs)を記録した。−70mVの電位固定下で低頻度連続刺激(1Hz、10分)をIV層に与えたところ、野生型では有意なLTDは見られなかったが、ホモ欠損型ではLTDが生じた。次に、この結果が真にBDNF欠損によるものかどうかを確かめるため、BDNFを潅流液より投与し、レスキューできるかどうかを検討しており、その結果も合わせて報告する予定である。

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