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「脳を知る」・「脳を守る」合同シンポジウム要旨 脳の機能とその異常  18-19
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皮質視覚野における神経栄養因子タンパク質量の入力依存的変化
一坂 吏志1)3), 仙波 りつ子2)3), 畠 義郎1)3), 大島 稔3), 津本 忠治1)2)3)
1) 阪大院医
2) 愛知県心身障害者コロニー
3) CREST·JST
脳由来神経栄養因子(Brain-derived neurotrophic factor、BDNF)とニューロトロフィン3(neurotrophin-3、NT-3)は大脳皮質視覚野の可塑性に何らかの役割を果たすと考えられている。したがって、視覚野内のこれらの神経栄養因子量は視覚入力の変化にともなって変化すると予想される。この可能性を検証するため、フェレット視覚野におけるBDNF、NT-3タンパク質量の視覚入力遮断による変化を2部位酵素免疫測定法を用いて測定した。その結果、両眼球内へのテトロドトキシン注入による24時間の視覚入力遮断によって、視覚野以外の脳領域では変化が無かったが、視覚野のBDNFタンパク質量は有意に減少した。一方、NT-3タンパク質量は視覚野においても有意な変化はみられなかった。これらの結果は、視覚野においてBDNFタンパク質量が視覚入力によって制御されていることを示唆している。

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